★教科書の仕組み

教科書発行の指示を許諾した発行者は、教科書を各学校まで供給する義務を履行するために、教科書供給業者と次のような教科書供給契約を結んで、供給を行っています。

※発行者とは ⇒ 教科書を発行している出版社のことです。

教科書発行の指示を許諾した発行者は、教科書を各学校まで給与する義務を負います。しかし、教科書発行者自身が各学校まで確実に教科書を供給することは、事実上困難です。そこで教科書発行者は、この義務を履行するために、教科書供給業者と次のような教科書供給契約を結んで、供給を行っています。

*このサイトで教科書とは、文部科学省検定教科書および文部科学省著作教科書、旧107条図書を指します。


◎発行者が特約供給所と契約している場合

発行者が特約供給所と供給契約を結んでいる場合には、発行者は取次供給所(一部は特約供給所を経由する。)へ送本し、取次供給所から学校へ供給されます。


◎発行者が大取次および特約供給所と契約している場合

発行者が大取次および特約供給所と供給契約を結んでいる場合には、大取次は発行者の委託を受け、取次供給所(一部は特約供給所を経由する。)に送本し、取次供給所から学校へ供給されます。なお、送本終了後における追加注文の場合は、原則として特約供給所を経由して供給される仕組みとなっています。


1、特約供給所について

各都道府県ごとにおおむね1箇所ずつあります。特約供給所は、その管内の取次供給所の選定、教科書の過不足の調整、教科書代金の回収等の事務を行います。

2、取次供給所について

取次供給所は、教科書を学校に直接供給する基幹であり、通常は書店がこの業務を行っています。

3、大取次について

自ら荷造発送を行う設備を有しない発行者が、教科書の発送や代金回収等の業務の全部(または一部)を委託する業者です。

※主な根拠法令:発行法第10条/発行法施行規則第18条、第21条

★調整本、常備本

教科書の迅速確実な供給は、学校教育上極めて重要ですので、発行者は調節本、常備本を設けて供給にあたっています。


1、調節本について

教科書の需要数は使用年度の前年度の9月に把握されるため、学年当初の必須冊数と合致しない場合があります。このような場合、児童・生徒の学習に支障がないよう、特約供給所に調節本が保管されています。

2、常備本について

学年途中の転入生のために、一定冊数の常備本が特約供給所等に常備されています。

★教科書無償給与の仕組み

◎義務教育教科書無償給与制度の趣旨

義務教育教科書無償給与制度は憲法第26条に掲げる義務教育無償の精神をより広く実現するものとして、我が国の将来を担う児童生徒に対し、国民全体の期待を込めて、その負担によって実現されています。

◎教科書無償給与の対象

教科書無償給与の対象となるのは、国・公・私立の義務教育諸学校の全児童生徒であり、その使用する全教科の教科書です。高等学校用教科書は、一部を除き無償給与の対象とならないため、基本的に有償で購入することとなります。
また、学年の中途で転学した児童生徒については、転学後において使用する教科書が転学前と異なる場合に新たに教科書が給与されます。

・国による教科書の購入

文部科学大臣は、無償措置法の定めるところにより、採択された教科書について、発行者と購入契約を締結します。(図①)
教科書の購入については、文部科学大臣は発行者に対し、一定の割合で教科書使用年度の前年度に、購入費の一部を予め支払うことができることとなっています。

・発行者による教科書の送付

発行者は、特約供給所・大取次・取次供給所等の教科書供給業者に依頼し、作成した教科書を各採択数に応じて全国各地に送付します。(図②)
送本された教科書は、通常、取次供給所に保管され、学校に納入するための準備が行われます。

・学校の設置者等からの取次供給所への納入指示

無償給与の仕組みからみると、教科書は、国から学校の設置者へ無書給与されることとなります。(図③)これらの設置者および国立大学学長等は、発行者の供給代行者である取次供給所に対し、教科書の納入について、その冊数、場所、期日等を指示します。

・児童・生徒への教科書の給与

取次供給所は、納入指示に基づき各学校へ教科書を納入します。(図④)
納入された教科書は、児童・生徒に給与されますが、その際校長は、教科書の無償給与の趣旨を児童・生徒に十分説明して給与することとされています。(図⑤)

※主な根拠法令
 無償措置法第1条、第3条、第4条、第5条、第6条/無償措置法施行令第1条/無償措置法施行規則第1条/会計法第22条/予算決算及び会計令臨時特例第3条

★ 在外日本人子女への教科書の無償給与

海外子女教育の推進を図るため、世界各地の大使館など在外公館を通じて、日本人学校を始め広く海外に在留する児童生徒に無償で給与されます。年度途中で出国する児童生徒に対しては、出国前に教科書を給与して、海外での学習活動に支障が生じないように配慮されます。

◎年度途中に海外へ出国する際の連絡先

    ≫ 財団法人 海外子女教育振興財団

  東京本部 〒105-0002 東京都港区愛宕1-3-4
  愛宕東洋ビル6階   ℡:03-4330-1341

  関西分室 〒530-0001 大阪市北区梅田1-3-1-200
  大阪駅前第一ビル2階   ℡:06-6344-4318